アフターコロナではオフィスのニューノーマルはどうなる?再認識されるオフィスの重要性

投稿日: カテゴリー オフィス関連

2020年1月に日本で初めての新型コロナの感染者が出てから早1年半。
ようやくワクチン接種が開始し、少しずつ明るい光が見え始めています。

今回のコロナ禍では多くの企業がテレワークを導入しました。
1回目の緊急事態宣言下では可能な職種のほとんどの人がテレワークに…。
しかし3回目の緊急事態宣言下の現在は、テレワークをしていた多くの人がオフィスに戻っています。

それはなぜなのでしょうか?

新型コロナの流行によって私たちはさまざまな痛手を負いました。
ですが今は自分たちの働き方や働く場所を見直す絶好のチャンスともいえます。

今こそコロナ収束後のよりよい働き方について、未来志向で考える時なのではないでしょうか。

コロナ禍で多くの人がテレワークを経験

働き方の一つの形として、長らく有用性がうたわれ続けてきたテレワーク。
ですが良くも悪くも新しいこどを取り入れることに慎重な日本人には、テレワークはなかなか定着しませんでした。

そこに来て今回のコロナ禍。
緊急避難的な導入でしたが、多くの人がテレワークを経験することになりました。

しかしwithコロナの生活が長く続き、多くの人はオフィスに戻ってきています。
これは今回のコロナ禍でテレワークという働き方の課題が浮き彫りになったからではないでしょうか。

浮き彫りになったテレワークの課題とは?

 

テレワークの導入によって、多くの企業は事業継続が可能なことを実感したはずです。
ではなぜ多くの人がオフィスに戻ったのでしょうか?
多くの人がテレワークを体験したことで浮き彫りになった課題を考えていきます。

株式会社日本商業不動産保証が都内企業の経営者・役員300人を対象に行った「コロナ禍におけるオフィスの在り方」に関するアンケート調査では以下のような結果が出ています。

Q.テレワーク導入でどのような影響が出ていますか?
または今後導入した際に出ると思いますか(複数回答)

1位 社員間のコミュニケーションを取りにくい     39.7%
2位 社員の業務状況が把握しにくい          37.3%
3位 オフィスと環境が異なるため業務効率に差が生じる 25.7%
4位 オンオフの切り替えが難しい           24.7%
5位 社員の健康状態が把握しづらい          20.0%
6位 光熱費や通信料などの経費を調整する必要がある  12.0%
6位 家族や同居人の影響で業務に集中しづらい     12.0%
8位 社員の健康状態に変化が起きる(身体・精神面)    7.3%

「コロナ禍におけるオフィスの在り方」

コミュニケーションが取りにくい

テレワークでは必要なコミュニケーションをビデオ会議アプリやチャットなどのコミュニケーションツールを使って行います。

ですが、それだけでは管理職は部下の業務状況を把握することはなかなか難しいのが現実です。

また仕事に必要な最低限のコミュニケーションは確保できても、お互いの距離を縮めるような人間的なコミュニケーションを取ることは難しいでしょう。

そうしたことから会社や部署、チームの結束力が弱まってしまうという課題も出てきます。

メンタルヘルスの問題

テレワークで人と人との関わりが希薄になるとメンタルヘルスの問題が起きやすくなります。

特に若い世代は一人暮らしの人も多く、テレワーク導入により人と話すこと自体が極端に減少。
不安や孤独を強く感じることが多くなります。

また経験が浅いので業務を進めるうえで行き詰まることも多い若い世代。
アドバイスを受けにくい環境での仕事は精神的に大きな負担です。

こうしたことからメンタル面で問題が起きやすくなります。

働く環境が整っていない

今回のテレワークは感染予防のため、自宅で行われることがほとんどでした。
その結果、働く環境が整わずに業務効率が下がってしまうことが課題になりました。

本来のテレワークにはコワーキングスペースや会社のサテライトオフィス、レンタルオフィスなどを利用するケースも多いものです。
こうした場所ならば働く環境が整っているので、会社と同じような効率で仕事を進められます。

このように働く場所の選択肢を増やすことで、テレワークでも効率を落とさず業務を行うことが可能です。

新しいアイデアが生まれにくい

このアンケート結果には出ていませんが、新しいアイデアが生まれにくいのもテレワークの課題です。

新しいアイデアとは何気ない会話の中から生まれることが多いと言われています。とくに他部署の人や、その仕事に直接は関係がない人との会話は視点が変わり、大きな気付きを与えてくれることも…。

しかしテレワークの環境では同じ部署の同僚でも雑談をすることが難しく、他部署の人とはコミュニケーションを取ることすらありません。

したがって新しいアイデアがなかなか生まれにくい状況になります。

オフィスの役割の重要性が再認識された

withコロナの生活が長くなり、テレワークから多くの人が職場に戻ってきました。
自宅でのテレワークを経験した人たちは、テレワークの課題を実感し、同時にオフィスの役割の重要性を再認識したからです。

コミュニケーションが取りやすくアイデアも生まれやすい

まずオフィスワークのメリットとして再認識されたのが、コミュニケーションの取りやすさです。お互いの顔を見てやり取りできることで業務がスムーズに進むことが再認識されました。

人と人との温かい交流も生まれ、相談もしやすいのでテレワークよりもメンタルヘルス的によい状況を作れます。

またフリーアドレスを導入している企業や、社員がコミュニケーションを取りやすい工夫をしている企業では、ふだんから多くの社員と交流をすることが可能です。
人と人との交流が多いと新しいアイデアが生まれやすくなります
よってイノベーションの創出につながるでしょう。

働く環境が整っている

多くの人が自宅でテレワークを行ったことで仕事環境に格差が生まれました

パソコンやWi-Fiは会社から支給されることが多いでしょう。
ですが自宅にちょうどよいデスクやチェアがなかったり、家族がいるために集中できなかったりして、オフィスと同じ効率で仕事をできない人もいます。

そうした人にとって、仕事に適した執務室がありOA機器もそろっているオフィスは、自宅に比べ効率的に仕事を進められる場所といえるでしょう。

企業理念や社員の帰属する場としてのシンボル

オフィスは企業理念を表すシンボルとしての役割も持っています。
例えば「自然との共生」が理念の企業が、オフィスを自然にこだわったデザインにすれば企業理念を伝える役割が果たせます。

またオフィスは社員の帰属する場所、居場所としてのシンボルの役割も果たすでしょう。

アフターコロナではオフィスの役割をさらに強化するべき

緊急事態宣言が発令された2020年春は、ほとんどの人が自宅でテレワークを行いました。

長期間オフィスを離れたことで、オフィスの持つ役割の重要性が再認識されました。上で説明したように、オフィスには「コミュニケーションの場」「働く環境が整っている場」「企業のシンボル」としての強みがあります。

アフターコロナでは多くの企業が働く場所の選択肢を増やすことが考えられます。
自宅やコワーキングスペース、レンタルオフィス、カフェ、ワーケーション施設などが選択肢になるでしょう。

働く場所がオフィス以外にたくさんあるならば、オフィスだからこそできる役割を強化していくべきです。

例えば「コミュニケーションの場」としての役割を強化するには、ミーティンスペースやレクリエーションスペースなどコミュニケーションを取れる場を整備。

「シンボルの場」としての役割を強化するには、テレワークによって執務室の面積が削減されてできたスペースを自社製品のショールームにする、といったやり方があります。

コロナ禍のテレワークとこれからのテレワーク

コロナ禍のテレワークは…

2020年春に進んだテレワーク導入はあくまで緊急避難的なもの。
企業の多くはBCP(事業継続計画)の一環としてテレワークを選択しました。
ですから導入されたテレワークは画一的個人の自由が反映される余地がないものでした。

個々に合わせた形ではなかったので、テレワークにフィットしない人も出てきて、たくさんの課題が浮き彫りになったといえます。

コロナ禍のテレワークを経験として生かす

今回のコロナで一律的に導入せざるを得なかったテレワークを、働き方をよりよく改革するために必要な経験だったと捉えてみてはいかがでしょうか。

そして浮き彫りになった課題を検証するとともに、よりよい働き方とは何かを考え、ベストな形のテレワークを模索し、戦略的に導入することは企業が前進していくために必要なことだといえます。

アフターコロナは働きやすさを追求したテレワークを

本来のテレワークは働く人がよりよい働き方の選択肢を持つとが目的。
アフターコロナでは、よりよい働き方を目標にテレワークを導入していく必要があります。

場所は自宅に限定されることもなく、カフェやコワーキングスペース、サテライトオフィス、ワーケーション施設などから好きな場所を選べることが理想です。

コワーキングスペースやサテライトオフィス、レンタルオフィス、ワーケーション施設なら働く環境が整っているので、自宅のような働く環境の格差は生まれません。

その時の仕事内容に適した働きやすい形を自分で選択するのが、今後のテレワークのスタイルになってくるでしょう。

オフィスワークとテレワークを使い分ける

人が働く時に重要な要素はたくさんあります。
人とのコミュニケーションできる場所や集中できる環境、リラックスできる環境、OA機器がそろっている環境…人それぞれです。
その多様な要素を一カ所で実現するのはなかなか難しいといえます。

働く場所を複数から選べれば、必要な要素を補い合うことができます
「コミュニケーションを取りたければオフィス」「集中したいのでレンタルオフィス」「子供の行事に参加したい時は自宅」などと選べれば、その時々で一番適した働き方が可能です。
オフィスワークとテレワークをバランスよく使いわけることで、よりよい働き方が実現できます。

社員がよりよい働き方をすることで、仕事の効率が上がります。
さらに活発なコミュニケーションを提供できれば、新しいアイデアが生まれイノベーションが創出しやすい職場になるでしょう。

イノベーションを創出できない企業に未来はありません。
社員一人一人が働きやすいオフィス作り柔軟なテレワーク体制の整備が重要になります。

まとめ

今回はアフターコロナのオフィスの新しい形について紹介しました。

テレワークのメリットや課題が浮き彫りになった今回のコロナ禍。

浮き彫りになった課題をそのままにして、また元の働き方に戻るのはもったいないことではないでしょうか。

今後はアフターコロナを見据えながら、よりよい働き方を模索して、働き方のニューノーマルを作りあげていきたいものです。

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